南三陸の生徒たちから、メッセージが届きました。
7月10日11日、宮城県南三陸志津川町へ行ったトランペット客演首席奏者のオットーの報告が話題を呼んでいます。
今回の被災地訪問の目的は志津川中学と志津川高校の吹奏楽部との合同演奏です。「被災地に音楽を！」の運動のもう一つの目標が被災を受けながら東北で頑張るオーケストラ＝仙台フィルとの協力があります。今回は仙台フィルにも呼びかけ、共同の取り組みとなりました。日本フィルからは金管五重奏、仙台フィルからは木管五重奏が合流することにしました。
金管五重奏のメンバーはトランペット客演首席のオッタビアーノ・クリストーフォリ、副首席の星野究、ホルン＝ゲストの原川翔太郎、トロンボーン首席の藤原功次郎、チューバ＝ゲストの西口学。木管五重奏は仙台フィルのフルート芦澤暁男さん、オーボエ西沢澄博さん、クラリネットは日本フィルの芳賀史徳（宮城県出身）、ファゴット水野一英さんが参加しました。
オットーのレポートにあるように、志津川の高台にある中学校、高校は被災を免れ被災当初から町民の避難所となっています。体育館のなかは冷房もなく、蒸し風呂状態。この環境で「暮らしている方々」の苦境はいかばかりかと想像します。
リハーサルに先立ち中学校顧問の及川先生は、「3.11当日、生徒たちは下校前で、目の前で街が流されるのを目撃しました。その後1週間から2週間、電気も水もない不安と恐怖のなか父兄の迎えを待って学校で待機しました。親や親せきをなくした部員、やむなく転向した部員、さまざまな変化のなかでも吹奏楽コンクールにでようという目標をもって、部活動に取り組んできました。音楽に集中している時、それは生徒たちにとってみんなで励ましあっていると実感できる一番充実した時間でした。」と述べました。
高校、中学のそれぞれの部員との合同練習は約1時間、指導の先生はパートごとの指導に時間をとり、オーケストラメンバーとの幸運な出会いを重視しました。9人のメンバーの加わった演奏は見事な出来栄えでした。
日本に来て2年目、3/11の地震を経験した24歳のオットーにとって、今回の訪問は本人からの強い希望があり実現しました。
生徒たちからメッセージが届きました。（志津川中学編）
♪ 日本フィルのみなさんと演奏できたあの日は夢のようでした。美しい音色のなかでつくりだす夢のような世界は、とてもきれいで感動しました。教えていただいたこと一つ一つが重要で、つい間違えたり気にしていなかったことがあったので、これからは教えていただいたことを気にとめ、コンクールで納得のいく演奏ができるように生かしていきたいと思います。すばらしい演奏や指導をありがとうございました。
1年生 フルート生徒
♪ 日本フィルのみなさんのすばらしい演奏に感動しました。「私もあんな音を出せるようになれたら」と思いました。みなさんと演奏した夢のようなあの日を私は忘れないと思います。
1年生 木管生徒
♪ みなさんの演奏と練習でよい刺激をたくさん受けることができました。また、私たちの質問に丁寧にわかりやすく教えていただいて、とてもすばらしい時間をすごすことができました。教えていただいたことをしっかりと練習し、コンクールでもよい結果が残せるように頑張りたいと思います。ありがとうございました。
3年生 金管 部長
♪ 先日の演奏は大変すばらしく感動しました。また「銀河鉄道」を一緒に演奏していただき、指導までしていただきありがとうございました。今でも、すぐそばで鳴り響く美しい音が心に残っています。息の使い方、表現の仕方などたくさん具体的に教えていただき、また、オットーさんからはメンテナンス用品やお手紙までいただき感激しております。この出会いを忘れず、これからの演奏に生かしていきたいと思います。
3年生 トランペット
♪ 震災以来、吹奏楽部の仲間とともに過ごす時間が私の心の支えになっていました。早く楽器が吹きたい、叩きたいと音楽室に集まってきた生徒たち。コンクールに出たい。こんな中だからこそ、元気に演奏している自分たちの思いを届けたい、と頑張ってきた子供たち。ひとり減り、ふたり減り…やむなくして転校していった10人の仲間たち。彼らのためにも、頑張って自分たちの音楽を多くの人たちに聴いてほしいと毎日集まっては楽器を鳴らし、語り合い、同じ時間を過ごしてきた仲間たち。そんな生徒たちにとって、今回の出会いは大きなプレゼントになりました。
日本フィルのみなさんの音を聴き、涙が止まりませんでした。マンツーマンで教えていただいている光景は本当に夢のようでした。この子どもたちにとって、大きな力となるとともに、一生の宝物になったと思います。この出会いが、子どもたちの音楽人生のすばらしい栄養エネルギーになることはまちがいありません。本当にありがとうございました。感謝しております。
吹奏楽部 顧問 及川道子
