* * *

今回、被災地7箇所で演奏しましたが、特に石巻市は震災と津波の惨禍から7ヶ月を経て、瓦礫の撤去や仮設住宅への移転等、住民の方は(私たちの前では)ある程度、落ち着きを取り戻しているように振舞っておられました。「あんなに大きな津波が来るなんて、誰も思っていなかったもんなあ〜」北上中学校の校長先生は努めて明るいのですが、合間に見せる険しい表情は被災地の方々の心の痛みの深さを、教えてくれているようでした。「うちは主人が津波に流された」「1人ならまだいい。うちは3人だべ」こんな会話が日常交わされているこの現実。それを正面から受け止め、前を向いて生きて行く上で、家族を・家を・仕事を失った方々の心に空いた隙間は、「助け合い」という地域の「絆(コミュニティー)」で、多少でも埋めることが出来るのかもしれません。
その「絆」の再構築に、生の音楽、特に世代間の嗜好の垣根の低い「クラシック音楽」が何かお役に立つのではないか?とひしひしと感じました。また、演奏家とならなければ出会うことのなかったであろう、多くの方々の熱烈な歓迎を受け、その「幸せ」と「使命感」を新たにする日本フィルのメンバーでした。

尚、本文中で触れられませんでしたが、石巻市各地の訪問は、石巻市立北村小学校の石垣好春先生にコーディネートしていただきました。また「あとりえDaDa」、仙台市内の福祉施設2箇所については、フコク生命の本・支社に会場交渉・日程調整等、開催に向けご協力いただきました。文中でお名前を掲載させていただいた皆様と併せ、ご自身も被災されているにもかかわらず、ご尽力いただき、改めて深く感謝申し上げます。

私達は今後も、被災地に音楽を届ける活動を継続してまいります。

* 9月30日現在の募金総額 6,526,562円
(会場募金2,808,989円、郵便振替・銀行振込等3,717,573円)