フレッシュ名曲コンサート 委嘱作品 菅野祐悟作曲「flower」本邦初演に寄せて
12月4日(日)秋川キララホールでの
フレッシュ名曲コンサート
日本フィルハーモニー交響楽団演奏会
この演奏会のなかで、日本フィルトロンボーン奏者藤原功次郎さんの委嘱作品
「flower」の本邦初演が行われます。
作曲の菅野祐悟さんから、「flower」へのコメント、曲目の解説を頂きました。
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この協奏曲は日本フィルハーモニー首席トロンボーン奏者の藤原功次郎さんから委嘱された作品です。
世界的にみても藤原さんほど表現力が豊かな奏者は稀だと思います。オファーをいただいた時、既に映画音楽の仕事などが重なりスケジュールが立て込んでいたのですが、藤原さんが演奏してくださるのであればと思い、即お引き受けしました。
この協奏曲は3楽章から成り、それぞれの楽章が現代美術家ミレイヒロキの絵画から着想を得て作曲しています。ミレイヒロキの絵画には「世界中に花を届けたい」というメッセージが込められています。
楽章ごとの絵画は、クレヨンのみを使い抽象的で繊細に書き込まれ、妖艶な色使いと大胆なアイディア、うごめくエネルギーに満ちています。
僕はこの現実と夢の狭間のような絵画の表現を音にしました。
作曲に取りかかったのが、東日本大震災の直後だったために、その影響も少なからずありました(これから僕は音楽にどう向き合っていくべきなのか深く考えさせられました)。
制作段階において何度も書き直し、藤原さんにも何度もスタジオに来ていただき、長い時間向き合い、そしてようやく完成にこぎつけました。
藤原さんをはじめ、日本フィルハーモニーの皆様、お世話になったスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。
菅野 祐悟
トロンボーン協奏曲「Flower」
第1楽章 PHANTOM
解りやすい弦楽器の主題で始まり、リズミカルで不思議な変拍子が続く第2主題に続きます。中間部には技巧的なトロンボーンとオーケストラが会話的に展開していきます。後半、それぞれの主題が交ざりあいぶつかりあい、一つ大きなうねりとなり、華やかに終わります。
第2楽章 AS TIME GOES BY
鐘の音を連想させるチューブラベルの音ではじまります。
世界中に花と音楽と愛が届いてほしいという想いをD(レの音)のロングトーンとトロンボーンのメロディーに込めました。
第3楽章 FLOWER NOTE
第1楽章のアプローチをより解りやすく、シンプルに可愛らしく表現しています。第1楽章と共通して現れるミニマル的なピアノとマリンバはフラワーの特徴的な音色になっています。トロンボーンらしいファンファーレ的なテーマのメロディーが踊るように自由に展開し、華やかに幕を閉じます。
演奏会情報
フレッシュ名曲コンサート
日本フィルハーモニー交響楽団演奏会
2011年12月4日(日)
開場14:30 開演15:00
秋川キララホール 交通案内
料金(全席指定):一般3,500円 学生1,500円※未就学児入場不可
プログラム
賛美歌「アメイジング・グレイス」
リチャード・ロジャース:「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー
菅野祐悟:トロンボーン協奏曲「flower」【本邦初演】
アンダーソン:クリスマス・フェスティバル、そりすべり
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
指揮:飯森範親
ソプラノ:赤星啓子
トロンボーン:藤原功次郎