ロイヤル・バレエの《マノン》 (Tamako)

先週金曜日のNHK《芸術劇場》をご覧になりました? バレエ好きの方ならきっと気づかれたのではないでしょうか。英国ロイヤルバレエ団の《マノン》が放映されましたね。

 バレエ大好き人間の私、特にこの《マノン》や、同じケネス・マクミラン振付の《ロミオとジュリエット》は色々なダンサーの主演で何度でも観たい、と思わされます。マクミランはドラマティックな作品で定評のある振付家。《マノン》は目に美しいファンタジーでは全くなくて、ドロドロした部分もある現実的な物語です。終幕、マノンは国外追放となり、ルイジアナの沼地でボロボロの姿で死んでいきます。パリでお金持ちの愛人として贅沢な生活を謳歌していたときの姿とは明らかに対照的です。でも、たとえ衣装は粗末でも、その死にゆくマノンとデ・グリューの悲しいパ・ド・ドゥは、二人の恋が燃え盛っていた頃のパ・ド・ドゥとは違った意味で美しく、胸を打ちます。

 今回の主演はマノンにタマラ・ロホ、デ・グリューにカルロス・アコスタ。ロホはマノン役には勿体無い、といっては語弊があるかもしれませんが、彼女の思慮深い人間性が現れるような丁寧な踊り。そしてアコスタはとてもノーブルなデ・グリューでした。

 とはいえこの作品、若く美しいけれど浅はかな女と翻弄される男、そして背景には18世紀フランスの富めるものと貧しいものの格差・・・そう、当時の格差社会の現実!大人向きですね〜。

お子さんとご一緒のバレエ鑑賞には、やはりまずは《くるみ割り人形》がお勧めです♪