冨田勲×藤岡幸夫 4.18名曲コンサートを語る その2

その2 サラウンドで サントリーホールが宇宙船になってお客さんごと空へ持ち上がるような感じ(冨田)

【サラウンドについて】

藤岡:コンサートの前半ですが、一連のシンセサイザーの大ヒットを飛ばしたあとで、オケに戻られた作品ですね。「勝海舟」がかっこいいですね。


冨田:咸臨丸の出航ですね。幕府遣米使節随伴艦、わが福沢諭吉も乗っていた。これは2チャンネルでなく、サラウンドで聞いてほしい。

藤岡:僕は生のオケで聞いてほしいですけどね。それから今回はサラウンドでいろいろやりますが、効果音なんかを出して。

冨田:冒頭のところだけシンセもちょっと演奏させてもらいますけどね。「宇宙へのいざない!」サラウンドで サントリーホールが宇宙船になってお客さんごと空へ持ち上がるような感じ。そのあとは「銀河鉄道」的になってオネゲル作曲「SLパシフィック231」は オーケストラでお願いします。あれって演奏はたいへんだよー。リズムが人間の持つ生理と違うところがあるんだよね、機械的で。シンセのシーケンサーの演奏のために作曲されたような曲。

藤岡:がんばります!それからそのあとちょっとシンセサウンドを楽しんでもらうんですね。

冨田:そう。ひよこがね、オーケストラから離れて会場をぴよぴよ飛び回るの、ひよこが会場の後ろに回ったりね。ドラ猫に追っかけられて。

藤岡:新日本紀行から勝海舟まで、素晴らしい曲ですねー。

冨田:「おとうと」のトロンボーンはね、鶴瓶さんのイメージなの。映画もずいぶんお客さんが入ってるみたいだね。大入袋がきたよ。(笑)


藤岡:先生、他に何か言い残されたことがありますか。

冨田:ぼくもずいぶんいろんな曲を作ってきたなーと思うね。いつまで続くかと思うけど、好きでやってきたんだけど、行き詰っても誰も助けてくれない。藤岡さんもそうでしょ。誰も助けてくれない。人に代筆を頼むという方法もあるんだけれども、仮に不得手な部分でも自分でやらないと聴き手に伝わらない。だからいまだに一人でがんばっちゃう。