公演担当者と一緒に、オーケストラを聴こう。第3弾 ライヒの巻 その3

その3 最後に今回の《管楽器、弦楽器とキーボードのためのヴァリエーション》について。


この曲は聴いたことあるんだっけ?


●企画発表のときにちょっと聴いて、「パフューム」みたいだねって言って終わっちゃった(笑)。


スコアがこれなんです。見ればわかるとおりずーっと6拍子と5拍子が交互にあらわれてくる。編成が面白くて、弦楽5部に加えてフルート、オーボエ、トランペット、トロンボーンがそれぞれ3本。あとチューバと電子オルガン3台、ピアノ2台が必要です。


●打楽器がないんだ。


いないんです。で、弦楽器と金管楽器はずっと白い音符しかない。


●笙みたいだね。


その上をフルートかオーボエのどちらかが吹きっぱなしという感じ。まあオルガンもずっと弾きっぱなしなんだけど。


●どこで息をするんだろ?


・・・でこの状態がずっと続く。ライヒの音楽ってさっきも言った通りDJの世界に通ずるところもあるし、あとこのパルス状の魔術的な感じが魅力ですよね。しかもものすごくきれい…。


●あと「ズレ」と繰り返しね。パルスとフェイズ。ラヴェルの《ボレロ》好きな人は好きそうな気がする


でしょうね。


●そういえばこれって、指揮者は何をしているんですか?


もちろん棒、振ってますよ。
面白いのは、フルートのパート譜とか見ると、休みのところにも音符が書きっぱなしなんですよ。「Play」「Out」って書いてあって、「Out」のところにはオーボエパートの音が書いてある。自分たちの入りが間違わないように気をつけなさいよ、と。
あとスコアの冒頭に注意書きがあって、「鍵盤楽器木管楽器の前にはマイクをたてて、PAで音量を調節して」とある。だから実際には舞台上にスピーカーが並ぶので、普通のクラシックコンサートとはちょっと趣が変わってくると思います。


●すごい集中力を強いるよね。一発まちがったらおしまい、という。ライヒの音楽を演奏して、どっかがずれたがために崩壊するってことは、よくあることなのかな。


よくあるかどうかは分からないけれど、例えばさっきの《18人の音楽家のための音楽》なんかは、演奏家の皆さん、イヤみたいですよ。「修行みたいだ」って。あれは指揮者立てないしね。


●《ヴァリエーション》て全部で何分くらいだっけ


21分ぐらいです。


●全部聴いてみようや。1回。かけっぱなしにしといて下さいよ。


うへえ。





●これを演奏している人をじーっとみているってのは、変わった音楽体験ですよね。色の変化を聴いているみたい。街角の喧噪が聴こえるみたい。ただいま何分経過でしょう。


6分です。長いです。


●でも変化があるから、聴けるわ。それにしても、楽しげですね。春っぽい。新春。










(ただいま、12分ぐらい経過です、楽譜完全に見失ってます)


音色がキリッと変わった時が何とも言えないね。


●光の差し込み口が変わるみたいな感じね。ステンドグラスの色が変わるみたい・・・。


ヴァリエーションは、まだまだ続くのでした。ハマりますよ。サントリーホールで、一緒に聴きましょう。

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