公演担当といっしょに、東京定期を聴こう。第8弾 ラヴェル《ラ・ヴァルス》の巻 その2

その2.注目して下さい。指揮者とオケの「猟奇性」?

ラヴェルの《ラ・ヴァルス》を聴き終えて、12月東京定期の話が続きます。

●で、今回どうしてこうしたプログラムになったのですか?

一つは山田和樹という指揮者の幅広さを知ってほしかった。これまで日本フィルとはベートーヴェンの7番やブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》、そして今年4月の東京定期でマーラーの4番をやりましたよね。つまりドイツものをやってきた。
なので今回彼の違う側面をご紹介しようと考えました。山田マエストロが優勝したブザンソン指揮者コンクールはフランス、そして今もパリ管とは非常に深い仲ですし、そう意味でフランスとは縁が深い。

また日本フィルはラザレフ/ロシア、インキネン/フィンランド、といった枠組みが形成されていますから、それらとは別の世界を構築したかったわけです。
なので今回は「フランス」をベースに据え、プログラミングしました。ただ単純にドビュッシーラヴェルをランナップするだけでは面白くない。そこでモーツァルトやベルクといった時代も国も異なる作品も入れました。でもモーツァルトのタイトルはまさしく《パリ》ですし、ベルクの《ルル》も物語の舞台にパリは登場するし、全曲盤の初演はパリで行われましたから、そう意味では全て作品が「フランス」にリンクしているわけですね。

まぁなにはともあれ、マエストロがやりたいことと、僕たちがやってほしいことをとにかく詰め込んだ、という感じですね。書く作品が書かれた時代も古典派(18世紀)、印象派(19〜20世紀)、表現主義(20世紀)とバラバラですが、あえていろんな時代に散らして、山田和樹という指揮者の可能性を知って頂きたいと思っています。

●キャッチを「響きのヴァリエーション」としたのはそういう意味なんですね。モーツァルトからモダンまでの間に色々なヴァリエーションを楽しんで頂きたい、という。

あと付け加えるなら、前半はドビュッシー(牧神の午後への前奏曲)とモーツァルト(パリ)で構成された穏やかで牧歌的な雰囲気。で、後半のベルク、ラヴェルは・・・

●狂気ですね。

猟奇的と言ってもいいかも(笑)。前半と後半のコントラストも是非お楽しみ頂ければ嬉しいです。

12月9日金曜日、10日土曜日
日本フィル第636回東京定期演奏会
プログラム

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
モーツァルト交響曲第31番《パリ》
ベルク:オペラ《ルル》組曲
ラヴェル:ラ・ヴァルス

演奏会情報をご覧下さい。ナクソスのミュージックライブラリーより視聴もできるリンクが貼ってあります。


会議室ヴァーチャルコンサートはまだ続く。次は、ベルク《ルル》へ!