公演担当と一緒に、オーケストラを聴こう 第4弾《春の祭典》の巻 その1

只今東京定期リハーサル真っ最中。
公演担当者からのリポートも到着。このリハーサルの前にマネジメントスタッフが一緒に聴いたのは、「ハルサイ」ことストラヴィンスキー春の祭典》です。
歌あり、振りあり、突っ込み満載のバーチャル演奏会、どうぞ!


リズム細胞飛び交うここはアキバか

perfumeポリリズム

「ポリ(poly)」とは「複数の」という意味ですよね。このperfumeの《ポリリズム》では真ん中あたりでベースになっている4拍子以外の様々なリズムが同時進行で鳴る部分がある。同時期にいろんなリズム細胞がガーッと鳴っている。まさにポリリズム=Polyrhythm。
なんで《春の祭典》の話をするのにperfumeなのか。両者に共通するのがこのポリリズムなわけですね。
今度は《春の祭典》の一部を聴いてみましょう。

Stravinsky:” Le sacre du printemps”

今の1回聴いただけだとなかなかわかりにくいだろうとは思うけれど、数種類のリズムが同時存在しているのね。譜面上は4分の6拍子なんだけど、そこをギロが2連譜で演奏してたり、他の楽器は4拍子で動いていたり。譜面でみてもらうとよく分かるんだけど・・・。

■ギロって、ワークショップでも使ったりする、あのギロ?
そう、ギギギギってやつ。
一聴するとすごいカオスに聴こえるんだけど、その実、細かいリズム細胞がいろんな組み合わせの中で成り立っているから、いわば計算された混沌というわけ。
春の祭典》を《春の祭典》たらしめている大きな理由の一つがこういったリズム感覚です。この作品が生み出される以前の「クラシック音楽」には無かったリズム感をストラヴィンスキーは「ハルサイ」に込めたわけですね。

♪この後もリズムが入り乱れていきます。音楽はどんどん進みます。公演担当者は、どんどん譜面をめくります。

8分の6、8分の5、8分の2・・・(と、嬉々として宣言しています)、もうどんっどんどんどんぐるぐると。

■あんまり拍子とかって、考えない方が聴きやすかったりして。
●音に酔いそうですね
まあ、今のは前半の部分だけでしたけど、これだけでも頭ぐちゃぐちゃになるでしょ。でも、何回か見てると自然と身体が覚えるんですよ、これ。クセになるというか・・・(笑)

■そうかもね。
●身体に覚えさせるようにする。
そう。身体が覚えなくちゃいけないけど、「本当のぐちゃぐちゃ」じゃないから、慣れてしまえば弾けるようになる。

■予期は出来ないけど、染み付けば快感なのかな。
ただ、普通音楽って1、2、3、4というか、2拍子だったり、ワルツで「ぶんちゃっちゃー」だったり。でもこの曲の場合は、8分の7拍子とか。あとで出てくるのは4分の11拍子とか。8分の5拍子とか。5拍子ってちょっと引っかかるんだよね、普通の4拍子とか2拍子に慣れている身体だと。ちょっと端数なのよ。5、7、11っていうのが。割り切れない、というのがしょっちゅういろんなところに出てきて、素直に踊れないというか。

●どうやって、踊ったんだろう。
ぜひ「ニジンスキー」でも、「シャネルとストラヴィンスキー」といった映画を見てみて下さい。
(どちらの映画でもダンサーに向かって必死に1、2、3、4、5!と拍子を怒鳴るニジンスキーが出てきます)
(続く)

振付家も大変だったハルサイ、一緒に拍子数えてみます?
シズオ・Z・クワハラさん東京定期デビュー、ライヒとハルサイです。←演奏会情報はこちら