公演担当と一緒に、東京定期を聴こう。第6弾R.シュトラウス《町人貴族》の巻 その2
その2.では早速「序曲」を聴いてみましょう。
●なんで東京定期でこの作品を取り上げることになったんですか。
●「序曲」の最初は弦楽ですね。
今は弦楽だけれど、この後からピアノも入ります。
●すごいアンサンブルですね。
そうなんですよ。
さっきの《薔薇の騎士》と比べると全然違う音楽に聴こえるでしょ?まず分かりやすいのは編成が全く異なる。《薔薇の騎士》はものすごく大所帯の管弦楽なんだけれども、この《町人貴族》の場合は、弦楽器の編成でいうと4-2-4-4-2。
●ふーん、ずいぶん小さいね。
スタッフその2(以下▲)すみません、4-2-4-4-2って、なんですか。
弦楽器奏者の人数です。つまり1stヴァイオリンが4名、ヴィオラが4名・・・という意味です。
この「序曲」だけ聴いても、すんなりとバロック音楽との近親性を感じることはできないかもしれませんね。でも《薔薇の騎士》や《春の祭典》と比べたら音符の数もシンプルだし、響きも典雅でしょ?
次、2曲目、メヌエットに行きます。
♪同「メヌエット」
●組曲は全部で何曲あるんですか。
9曲です。
スタッフその3(以下☆)演奏時間は?
35分ぐらいですね。
●でも、9曲35分って、1曲1曲が短くて、飽きなくていいね(笑)。
☆気分転換できますしね。
●咳払いもできるし(笑)
●なんだかR.シュトラウスの音楽って、時々「あれ?」というような和音が出てきて、良い意味でひねくれてるよね。
(笑)・・・。一聴すると擬古典的なシンプルな書法に感じるけど、転調の仕方とか半音階の旋律を聴くと、遠くのほうで《薔薇の騎士》が谺するように聴こえるのね。あぁ、やっぱりリヒャルトの音楽だなと。
●R.シュトラウスって、なんであんなにいい酔った感じの曲つくるんでしょうね。《薔薇の騎士》でオックス男爵が酔っぱらっている音楽あるでしょう。
フランス・バロックをベースに置きつつも、どこかで必ずシュトラウスの出自であるウィーンの香りがする。この「メヌエット」の中の曲もよーく聴いてみると「薔薇の騎士」で聴こえてきそうなパッセージが登場します。それは転調の仕方とか、楽器の使い方とか。弦楽器の3拍子のグリッサンドとかすると、それこそオックスのワルツみたいだし。