山田和樹の西方見聞録2011-12シーズン 2011年 11月3日スイス・ロマンド管弦楽団 

2010年6月に代役で初共演して、2012年9月から「首席客演指揮者」に就任することが決まっていたのだが、就任前に何とか1回は演奏会をしておきたいという僕とオーケストラ双方の希望の中、実現したコンサート。前半はガーシュイン、後半はラヴェル、という大変オシャレなプログラム。ピアニストにはファジル・サイさんを迎えた。ファジル・サイさんの才能はなんといったらいいのだろう、奇才とでも言うのだろうか。作曲もすれば指揮もする、即興演奏もお手のもの、そして独特の世界観。「ラプソディー・イン・ブルー」を共演したのだが、さぞかし自由奔放なスタイルかと思ったら、ここではオーケストラはこう、と実に細かい注文が随所にあって、念入りなリハーサルとなった。最初から演奏の設計図がちゃんと出来ているタイプのソリストで、とてもエキサイティングな共演だった。
ラヴェルはこのオーケストラの十八番。最初の共演の時にも増して、何とも幸福な時間が訪れる。またもや、指揮台の上で自分の体重がなくなる体験をした!