山田和樹の西方見聞録2011-12シーズン 2012年 3月4日サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団 

サンクトペテルブルグ交響楽団と言うと、2つオーケストラがある。
ドミトリーエフさん率いる「アカデミー」と付けて呼ばれるオケと、以前はムラヴィンスキー、今はテミルカーノフさん指揮するこのフィルハーモニーオケだ。ロシアではこのように、ほとんど同じ名前なのに別団体ということが多々あり、外部のものからすると非常にややこしい。
何はともあれ超一流の集団だった。リハーサル初日からほとんど「完璧」なのである。これには驚いた。
ホールの響きももちろん素晴らしい。
ここにムラヴィンスキーをはじめ、数多くの巨匠が立ってきた、と思うと武者震いするような感覚。今どき珍しく、メンバー全員がロシア人であり、そのことがサウンドに与える影響は大きいだろう。
もう一つサウンドの秘密が。
パート譜を覗き込むと、まるで編曲されたようになっているのに驚いた。細かく音量の指示が追加されていたり、音自体の追加も!往年の指揮者の指示なのか、とにかくロシアだけで流通してる譜面は多いらしい。
プログラムは、ベートーヴェン第3交響曲「英雄」とR.シュトラウス英雄の生涯」という超重量級のものだったが、ロシア人の体力からすれば何のその、朝飯前という風情だった。
ちなみにこの「英雄」プログラム、2014年2月に日本で読売日本交響楽団とご一緒することになっている。