10月3.4日 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団

前回のトゥルク・フィルに続いて、北欧のオーケストラとの演奏会。
ロイヤル・ストックホルム・フィルは、1902年に設立された由緒正しいオーケストラ。ノーベル賞授賞式で演奏することでも知られている。
指揮者の楽屋には、無数の写真が。フルトヴェングラーカラヤン、エーリヒ・クライバー、若き日のマゼール、メータ、、、大指揮者の写真に囲まれている気分は、ただただ光栄と恐縮に尽きるものだった。
ラヴェル/ピアノ協奏曲(Ewa Kupiecさん)
ベルリオーズ幻想交響曲
さすがにオーケストラの機能性はとても優れていた。
お国柄か、個性が強い音という訳ではないのだが、そのピュアなサウンドには虜になりそうだった。ホールの音響も素晴らしい。
リハーサルから雰囲気のとても良いオーケストラで、お互いにネイティヴでない英語のやり取りということもあり、こちらもリラックスしながら練習できたのが良かった。

練習二日目が面白かった。
指揮者だけ1時間遅れて来い、と言うのだ。
何のことかと思ったら、練習二日目の最初の1時間はセクションごとに「分奏」をするのだそうだ。指揮者の希望ではなく、最初から練習日程に「分奏」が組み込まれているオーケストラがあるなんて!
きっと、弦楽器なら弦楽器全体の分奏だろうけれど、誰が仕切るんだろう、と思って様子を偵察に行ったらまたビックリ。広い舞台の中心に小さく輪を作っているのは、セカンド・ヴァイオリンのパート。ここの「分奏」は何とパート練習のことだったのだ。
もちろん仕切るのはパートの首席メンバー。こうしながら、ベテラン団員から新人団員へそのオーケストラでの弾き方が継承・伝授されていくことはとても良いことだと思った。
日本でもサイトウ・キネン・オーケストラの創設時には、パート練習をしていたというのだから、高いレヴェルのものも、土台作りが如何に大事かということなのだろう。

本番初日は、「幻想交響曲」を2回。
1回目はカジュアルコンサートのような雰囲気で、2回目はスポンサーご招待の演奏会。客層が違えば雰囲気もガラリと変わるから面白い。
本番二日目、ラヴェルのピアノ協奏曲も含めて、いよいよ本演奏会。

ここでオーケストラに火がついた。
もちろん前日に2回も演奏していることもあると思うのだが、ピュアなサウンドのどちらかといえば中庸なオーケストラだと思っていたのはどこへやら、時にうねり、時に荒れ狂わんばかりの凄い響きが創出した。本領発揮。まさに「幻想交響曲」のドラマを追うような音が溢れて、感動的な演奏に。
終演後は、スタンディングオベーション。感慨無量。
ロイヤル・ストックホルム・フィルとは、来年に再共演が決定している。今から待ち遠しい。